真空蒸着とは

真空蒸着の基礎

真空蒸着とは

大気圧の蒸着モデル/高真空の蒸着モデル

金属を蒸発させ基板に付着させ基板上に金属膜を形成する方法を、蒸着法といいます。
しかし、大気圧の蒸着モデルのように、空気に分子が多量にタンク内を縦横無尽に運動している状態で金属を加熱しても、蒸発した金属粒子は基板には到達せず、すぐ空気分子に衝突してしまいます。
蒸発粒子が、次に空気分子に衝突するまでの距離を平均自由行程といいます。
大気中では基板上に蒸着膜が形成できないため、空気を排気し真空状態を作る必要があります。
高真空の蒸着モデルのように、空気分子が少なくなれば平均自由行程は大きくなり、基板上に金属膜を形成することが可能になります。これが、真空蒸着です。

真空ポンプ

真空ポンプと真空度

ポンプ種類 到達真空度(Pa)
ロータリーポンプ 10-1
油拡散ポンプ 10-3 ~ 10-6
ターボ分子ポンプ 10-10

真空状態を作るには、真空ポンプが必要です。
真空ポンプには様々な方式があり、到達真空度が異なります。表は3つのポンプの到達真空度を比較しています。
しかし、高真空が望ましいといって、大気圧からいきなり油拡散ポンプを使用することはできません。
ポンプが動作できる圧力があり、ポンプ内部をある程度の真空に保つ必要があります。従って、油拡散ポンプの排圧側にロータリーポンプを接続し、大気圧から順に動作させる方法をとります。
また、量産設備の場合、トータルの排気時間を短縮するためにいろいろな真空ポンプを多段に組むシステムを考えて設計します。

色々な真空蒸着法

スパッタリング

スパッタリングのモデル

真空蒸着法以外にも様々な蒸着方法があります。
以降、スパッタリングとイオンプレーティングについて説明します。
先ず、スパッタリングですが、マイナスに通電されたターゲットといわれる蒸着金属に対し、プラズマ化されプラスイオンとなった不活性ガスイオンが引っ張られターゲットを叩きます。そしてターゲットより蒸着金属が叩き出され、基板に付着し蒸着膜を形成します。
一般的にスパッタリングで形成された膜は、純粋にターゲットと同じ組成といわれ、付着力も高くなります。

イオンプレーティング

スパッタリングのモデル

イオンプレーティングは、蒸着金属粒子を高周波によりプラズマ化し、マイナスに通電された基板上で膜を形成さえる方式をいいます。
特長として、蒸着粒子は直線的に基板に向う粒子のほか、矩形的な基板であれば側面まで蒸着粒子が回り込む効果が期待できます。立体的な形状の基板の表面コーティングなどに用いられます。

マシン・テクノロジーの蒸着法の考え方

マシン・テクノロジーは、お客様の最終要望としてどのような膜が必要か、をお聞きしその膜質を実現するために最良の蒸着法をご提示いたします。
また、量産設備の場合は、お客様から提示された目標の真空到達時間を実現するための最適な真空ポンプシステムを 設計いたします。


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